ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

「ウソは心の奥深くから湧き出てくるスキルであり、私たちはそれを思うままに利用する。偽りは人間の基本。」

「どうしてウソをつくか。答えは、うまくいくからだ。」

ある雑誌で読んだ記事。
衝撃的でした!
だって、小さいときから嘘をついてはいけないと教えられ、ピーターと狼の話しを繰り返し聞かされ、とにかく、嘘は絶対にいけないとたたき込まれ、正直に生きていくことが美徳であり、正しい道だと信じてきたのに、上手に嘘を付くほうが、「繁殖成功のための過酷な戦いを勝ち抜くのに有利なので、人間はそのように進化してきた」だなんて!!

でも、確かにそうです。
嘘も方便という言葉があるように、嘘もつきかたによっては、あるいはつく内容によっては、相手の気持ちを傷つけないように上手にコミュニケーションをとるツールになることを、だれでも体験的に知っています。
悪意のある嘘、他人を傷つける嘘はよくないけれど、本当のことを言って関係が悪くなったり、相手をより傷つけてしまうことになるのなら、上手に嘘を突き通す方が人間としてより進化しているっていうこと・・・ということなのでしょう。

だから、恋人が浮気をしたんじゃないかと疑って、問いつめたとき、「浮気なんてしてない!」と彼が言っても、それが本当であっても嘘であっても、それを信じてあげたほうがいいのですよね。
万が一嘘をついてたとしたら、それは、彼がパートナーを傷つけないよう、上手く関係を続けていこうと本能的についている嘘ということだから、嘘をつくことに対して悪いと思わず、関係を上手く続けたいと願っていると言う風に考えてあげればいいわけです・・・
ま、浮気する、っていうこと自体は許されないことだけど(笑)

嘘をつける人=進化した人、という図式になるのなら、詐欺師は最先端をいってることになるけど、まあ、もちろんそういうワケではなく、ものは考えようだということですね。
嘘は決して100%ワルイコトではなく、社会的関係を円滑に行うために人間がつちかってきた能力であると。

私は元来とっても正直者なので、嘘をつくのは下手くそなのですが、これからはよりよい社会生活を営むため、上手に嘘をつく訓練をしたいと思います(笑)


※この雑誌の記事、おもしろかったから、ぜひ読んでみてください。
日経サイエンス 創刊35周年記念 2006年12月号臨時増刊
「こころのサイエンス」です。

(2006.11)