ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

ジョアン

ボサノバの神様、ジョアンジルベルトのライブに行ってきました!

5時開演、の予定が・・・
いつものように
「アーティストの到着がおくれてます」
のアナウンスが3度ほどあり、ようやく6時前に
「アーティストが今、ホテルを出発しました・・」
のアナウンス。

舞台は、まったくセッティングされていなくて、「どうするんだろう」と思っていたら、6時10分くらいに敷物(?)、マイクスタンド、マイク、モニタースピーカー、いす、曲目の書いた紙、その他必要なものが一式到着して、5分くらいでセッティング。
そうか・・・すべて、ジョアンのものなのね・・・。

その後5分くらいして、開演のブザーが。

そして、ジョアンが登場。
いつものように、ギターを無造作にもって。
開口一番「こんばんは。ごめんなさい」
すごい!
「ごめんなさい」って!
ジョアンがあやまったのです!
私はそれだけで、どれだけ彼が日本を愛しているかわかりました。
そこまで愛しているなら遅れないで来てほしいとも思いましたが、それは、ジョアンだからしかたない(笑)
そのあとは、アンコールも含めて2時間弱歌いっぱなし。
今回、瞑想は入りませんでした・・・笑

歌い始めたら、その瞬間から別世界に連れて行かれた感じ。
自由自在に好きなように、まるで、自宅のリビングで歌っているように歌うジョアンに引き込まれて、気づくとコンサートが終わっていました・・・

彼がボサノバなのですよね。
ボサノバを作ったその本人を目の前で見られる幸せ、そして、その声を、ギターを、振動として五感で感じられる幸せ・・・

アンコールの一曲目は、ありがとう日本、というような内容の未完成の曲。
「まだ完成してない」といいながら、その場で作りながら歌ってくれました。
でも、これって、2年前に即興でうたった歌だよね・・・。2年もあったのに、完成しなかったんだ・・・笑。
でもね、この歌を歌っているとき、本当に幸せそうに、ニコニコしながら歌っていました。
本当に彼は今、幸せな時間を私たちと過ごしてくれているんだろうな、と思いました。

1時間以上も開演時間に遅刻し、それでも観客を満足させて帰せるアーティストってそうこういないと思います。やっぱり、ジョアンはスーパーじいさんです。

私は到底ジョアンの足元にも及ばないけど、でも、70才になっても80才になっても、どこかのライブハウスで歌い続けて、ちょっとスーパーなばあさんにはなってみたいな、と思いました。

神様から、感動だけでなく、希望ももらえたとっても素敵な夜でした。

(2006.11)