ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

同じ時を過ごすということ

久しぶりにリオで一緒だった友達に会いました。
リオにいるときはほとんど毎日のように会っていた友達。
彼女はリオから香港に行き、そして今はロンドンに住んでいます。
香港にもロンドンにも遊びにいったけど、会うのは実に7年ぶり。
会わなかった7年間にお互いいろんなことがあったから、もちろん変化はあるけど、でも、まるで昨日別れたばかりのように、おしゃべりをして、とても楽しい時間を過ごしました。

会わなかった時間の長さがウソのように話しができる・・・・・・

学生時代の友達と会っても、そうかも。
たぶん、それは、同じ時間を共有してきたから。
そう思いませんか?

同じ時間を過ごしても、感じることは人それぞれ違う。
同じものを見て、同じ風にふかれても。
それが恋人同士であっても、家族や友達であっても。
でも、その時、同じ時間を過ごしたという記憶が大事なような気がします。
時間は一瞬の積み重ね。
一瞬、一瞬、すべてを心に残すのは不可能だけれど、そのうち、どれかたった一つでもいいから心にとめて、同じ瞬間一緒にいたことを記憶にとどめる。
写真の「ひとこま」のように。
きっと私たちの脳は、無意識にそういうことをしているんだと思います。
古いアルバムを開いたとき、そのころの思い出が、まるで玉手箱をあけたようにモクモクとわき出てくるように、その頭の中にしまった「ひとこま」の記憶は思い出とともにしまい込まれ、そして会った瞬間に、同じ時間を共有した相手と自分をそのころの景色に連れ戻してくれるのではないでしょうか。

同じ時間を過ごす・・・。
でも、この「時間」は「長さ」ではなく、「質」かもしれない。
たとえ一緒にいる時間が短くても、その分密度の濃い時間を過ごせば共有できるものも多くなるはず。
時間を大切に、友達、家族、ライブに足を運んでくださるお客様、私にとって大切な人すべてと過ごせるその瞬間を心にとめて、共有できる上質な時間を大切に、これからも生きていきたいと思います。

心の中のアルバムをどんどん増やしていけるように・・・・。

(2006.10)