ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

Primavera〜春〜

ポルトガル語で春はprimavera。
そして、その春に咲くブーゲンビリアのこともprimaveraと言うのです。
日本のprimaveraといえば、桜!
日本の桜とブラジルのブーゲンビリア。
春に咲く花の色合いが、まさしくその国をあらわしているような気がします。

桜はいいですよねぇ。
みんなに、今か今かと咲くのを待ってもらって。
咲いたら咲いたでみんなに周りに集まってもらって。
散れば散ったでみんなに名残をおしんでもらって・・
日本人のDNAに訴えるものがあるんです。きっと。
「儚さ」とか、「散り際の美しさ」とか。

私は、桜が咲く直前、枝というか木全体がピンクに色づくあの瞬間が一番好きです。
つぼみがはちきれんばかりの時。
エネルギーが満ちあふれているとき。これから咲くよー!っていうとき。


そういえば、恋もこれから!っていうときが一番好き!
私の好きな歌にEste seu olhar 〜あなたのまなざし〜というのがあります。

「あなたのまなざしを見ていると、私があなたのことを好きなように、
あなたももしかしたら私のことを好きなんじゃないかしら、って思ってしまう。
でも、本当はどうなの?後で悲しい思いをするのはいやだから、
今、あなたのまなざしの意味がわかればいいのに・・・」

っていう内容。
この歌を歌うたびに、恋をし始めた頃のことを思い出し、彼のやさしかったまなざしを思い出します・・・・
思い出す相手は毎回変わるんだけど(笑)。
恋って、あのはじまりのせつないドキドキ感がいいですよね。
高まる想いを伝えたくて伝えたくて。想いがあふれ出しそうな瞬間。
生きてる実感っていうか、血が通っていることがわかるあの感覚。
彼の瞳に包まれている間は、魔法にかかったように時が止まり、
体中の細胞が幸せではちきれそうになる・・・

でも、恋と桜の違うところは、桜は儚く散ってしまうけど、
恋は愛にかわっていつまでも咲き続けることがある、っていうこと。
もちろん、散ってしまうこともあるけどね。
そう言うときは、また、咲けばいいのです。
桜だって、あんなに潔く、キレイに散ってしまっても、また翌年、同じ木に違う花を咲かせるのだから・・・・

隣の公園の桜も、今は葉桜。すがすがしい緑に青い空がよく似合います。
しっかりエネルギーを溜めて、また来年もキレイな花を咲かせてくれることでしょう。