ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

豊かさ

「豊かさとは、つながりの中に見いだせるモノ。
たとえば、自然とのつながり。人とのつながり。」

どこかで読んで、心に残っていた文章です。

確かにそうかも。「つながり」の中で見いだせる・・・

この間、奄美大島で、初めて目覚めた朝のこと。
まどろみながら耳に心地よくきこえるのは、波の音、鳥のさえずり、木々をゆらすそよ風の音・・・
階段を下りて、テラスに出ると目の前に広がるあざやかなコバルトブルーの海。
雨の音さえ、車の通るピシャピシャという音を聞いて気付くくらいの東京の生活から、自然の音しかない奄美の生活。窓の外はビル、いつも至近距離のものしか見ない生活から、どこまでも広がる大海原と水平線の見える生活。
大きな自然に包まれていると、人間も動物で、自然の中ではぐくまれて生きながらえてきたんだなぁ、としみじみ思えました。ロハスということばなんて、あらためていう必要が全くない奄美での生活を、「豊かだ」と感じたのは、やはり自然とつながりのある生活だったからなのでしょう。

東京にも自然はいっぱい。でも、意識して自然とつながらないと、無機質なものに囲まれた生活になってしまいます。人とのつながりもそう。意識してつくらないと、なくても生活できてしまう。

心に豊かさを感じる生活がしたいな。
みずみずしい生活っていうのかなぁ。
つながってこその豊かさ・・・

Antonio Carlos Jobimが、あんなにたくさんのすばらしい曲を作れたのは、自然を愛し、大勢の仲間に囲まれていたからなんだなあ、とふと思いました。豊かさは計れるモノではないけど、だれもが心の中で大きく育て上げられるもの。
私も、もっともっと心を豊かにして、いい歌が歌えるようになりたいな・・・

これからは、今まで以上に「つながり」を大切に生きていきたいと思います。

(2006.09)