ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

エネルギー

カエターノのコンサートに行ってきました。
キャリアのなせるワザなのか、とにかくいろんなカエターノを聴くことができました。
ミュージシャンとしても、1人の人間としても、大きな山もあれば谷もあったはずの彼の人生。
そのすべてが音楽に表れていました。
どこをとってもカエターノ。どんな歌を歌っても彼にしか表現できない世界。

「歌は言葉が大事」だと思っていましたが、「言葉」というものは「感情」に変わって、そしてそれが伝わって、聴いている私たちの心にダイレクトに届くのかもしれません。
言葉の通じない日本の聴衆相手にあれだけの想いを伝えられたのだから。
それがライブの醍醐味なのでしょう。

それにしても、すごいパワーでした。
何千人もの人達をどんどん惹きつけて、一つにしてしまう。引力・・・・。
あれだけ広い会場なのに、そんなことをまったく感じないくらいの一体感。
彼のエネルギーが、空気を伝わってみんなに届いたんじゃないかな、と思いました。

演奏する側にエネルギーがあるからこそ伝わるのですよね。
そのエネルギー源はきっと音楽に対する情熱や人に対する愛情。
そして、いつも溢れんばかりのエネルギーを保つためには、常に充電することが大切。
いい音楽に触れ、いろんな人たちと会い、五感であるいは第六感も含めて体中ですべてを感じ、それを蓄積していく・・・
私も「疲れたよ〜!」なんて言ってる場合じゃない。充電しなくちゃ!

でも、きっと・・・・
カエターノはあれだけのエネルギーを私たちに与えてくれたけど、彼もまた私たちからすごいエネルギーをもらっていたに違いありません。
だってミュージシャンにとって、ライブは一番のエネルギー補給の場なのだから。

(2005.05)