ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

視点

映画や演劇を観るとき、ふと気づくと私は役者さんの演技を集中してみています。もちろんストーリーに引き込まれていくこともよくあるけど、それでもどこか頭の中で客観的に役者さんの演技をみているところがあります。
シナリオを書いている友達は、反対にストーリーやカット割りとか、そういうところに集中してしまうみたいで、同じ映画やドラマをみても、感想の視点がまったく違います。

同じように、演奏を聴くとき、私はどうしても歌を中心に聴いてしまいます。歌手だから、興味の対象が歌にあるのはあたりまえなのですが・・・

実は、先月からギターを本格的に習い始めました。そうしたら、あらあら不思議!いままで何十回と聴いているアルバムでも、ギターの音がはっきりと聴こえてくるようになったのです。
今までもちゃんと音楽を聴いているつもりだったのに、私は歌しか聴いてなかったんだなあ、ってあらためて思いました。

同じ映画を観ても、同じ音楽を聴いても、視点が違うことによって、感じ方もちがってきます。そして、ひとつのものでもいろんな見かたをすることによって、違ったものにみえてくることがあるし、何倍も楽しめるようになったりするんだ、っていうことに気づいたのです。
もしかしたら、映画や音楽だけではなく、それは、どんなことにも言えることかもしれません。

そばにいる恋人も視点を変えてみてみると・・
より深く、もっともっと好きになってしまうかも。

視点を変えるということは、人生そのものを豊かにすること。
ギターのおかげで私の人生はまた少し豊かになりました・・・・・。


(2005.05)