ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

この間、大好きなピアニスト、石塚マミさんのライブに行ってきました。
そして、ある想いに満ちた歌を聴きました。

マミさんが小さいときからずっと大切にしてきた、彼女のおじいさんが書いた絵と手紙。
マミさんのお母さんさえほとんどぬくもりも知らない間に戦死してしまったそのおじいさんが、戦地から日本にいる家族のために送った絵と手紙を、彼女はいつか歌にしたいと思い続けていたそうです。
その絵を描いていたときは形すらなかった孫のマミさんが、その想いを歌にするというがとっても素敵で、聴いていて涙が出ました。

繋がっていく想い。
おじいさんの“想い”は、マミさんによって生まれ変わり、歌としての新しい命を与えられたのです。
そしてきっと、これからずっと生き続ける・・・。

歌い継がれている歌というのは、いいかえれば、ずっと生き続けている歌。
そして、その歌に命を与え続けるのは、歌手であり、演奏家であり、それを聴く人たち。
そういえば、この間見た映画「ビヨンドtheシー」でも、ボビーダーリンの歌に、彼を演じるケビンスペイシーが新しい命を吹き込んでような気がしました。

ということは、逆にだれも歌わなくなってしまった名曲がどこかに眠ってるかもしれないのですね。
どんな歌にも大切な想いや愛がつまっているはず。
そういう歌に命を吹き込んでいけたらすごく素敵だなぁ。
今、私が歌っている歌だって、元はといえば誰かが誰かのために作った歌。
その想いが時代を超え、国境を越えてどんどんと伝わっていく。
そして演奏者は、その想いに自分の想いを重ねてより深い想いを伝えていく・・・。
すばらしいことですね。

マミさんのおじいさんの愛と想いが、どんどんこれからいろんな人に伝わっていきますように。
そして、私もいつか自分の想いが伝えられるような歌がつくれますように。

そして、そして・・・・
何十年か後に、まだ今は形さえない私の孫がその歌を歌ってくれていたら、すっごく素敵だなぁ。