ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

三月の水 〜agua de março〜

あたたかな雨が降っています。
同じ雨でも匂いも違うし、やさしさが違う。
いいですね。春。

梅、桃、桜・・・
これから枝花の美しい季節です。
この間、桃の花の生け花を見て友達がぽつりとつぶやきました。
「切られた枝はきれいだけど、残る木の方は相当に淋しい風貌になるんだろうなぁ」
そうですよね。考えたことなかった。
毛を刈り取られた羊のよう・・・

でも、切り取られた花はその瞬間はきれいでも、すぐに枯れてしまう。
残った木はまた新しい花をさかせることができるのに。
大切なのは命。
次につながる命。
その命をはぐくむ雨。

春雨、梅雨、夕立、秋霖・・・
季節ごとに雨の呼び名がかわります。
新しい季節を運んできてくれる雨。

三月の雨は春の訪れを告げる雨。
春は出会いの季節、そして、新たな門出の季節です。
これから先、どんな世界が広がっていくのでしょう?

agua de março 〜三月の水〜
ブラジルの三月の雨は夏の終わりを告げる雨。
雨の意味も少し違うのかもしれません。

同じ時間に降る雨を見ながら、いろんな想いを巡らせている人達がいるんだろうな、と思ったら、とっても不思議な気持ちになりました。