距離
私が生まれ育った京都には、鴨川の法則というものがあります。
それは、(特に三条大橋から四条大橋にかけての)鴨川沿いの土手に座るカップルの隣同士の間隔がほぼ等しいという法則です。
京都のヒトは他人との距離を上手にとれるということを証明しているいい例だという説もありますが、どうなんでしょう?
両隣りから一番遠い場所っていうのは要するに真ん中ですよね。
これを繰り返していくとみんな等間隔になるとは思うのですが、そんなことを考える事自体が距離を意識しているってことなのでしょう。
友達、同僚、恋人、夫婦・・・。
いろんな人間関係がありますが、どんな人間関係においても相手との距離の取り方というのはとっても微妙で難しいこと。
近づきすぎるとお互いの見たくないところまで見えてしまったり、息苦しくなってしまったり。
かといって、距離をとりすぎると親しみがわかなかったり、そのうち関係が希薄になってフェードアウトしてしまったり。
距離っていうのはまったく不思議なものです。
遠くにいてもそばにいてくれると感じられる人。
近くにいても距離を感じる人。
物理的な距離と心理的な距離はかならずしも一緒じゃないし、それに、心理的な距離ってそもそも計れるモノじゃないしね。
つかず離れず、お互いのテリトリーを尊重しながら、相手を大切に思うっていうのが理想なんだろうけれど、これってどちらかが相手に依存していたりすると出来ないことですよね?
自立した大人になることが必要なのです。
だって、子供のころはそんなことな〜んにも考えないで友達と仲良くしたりケンカしたり。くっついたり離れたり。
そうしながら、いろんなことを経験して大人になって、ほどよい距離を保つすべを身につけていく・・・
それはとっても大切なことだけど、一方で寂しいような気もするなぁ。
大人になるということはそういうことなんだろうけど。
でも、恋人に対して距離を保つというのはむつかしいもの。
だって、身も心も一番そばにいたいものね。
だから、ついつい近づきすぎて、しなくてもいいケンカをしてしまったりします。
そういうときは、目を閉じて、等間隔に座っている鴨川のカップルの景色を思い描いてみてください・・・・
あれ?よく考えたら、恋人同士はくっついて座ってるんですよね?
これじゃあ、なんの解決にもならなかった。
ま、恋人同士の場合はケンカするほど仲がいいってことで(笑)