ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

58回目のバースデー

昨日のお誕生日は、朝から大勢の方からメッセージをいただき、本当に幸せな一日でした。

何年か前に、ジョアンジルベルトが日本に初めて来たとき、東京国際フォーラムで、歌い始めてすぐ小一時間沈黙の時間(私には寝てたとしかうつらなかったあの沈黙の時間・・笑)があったのですが、後日、「あれは、一人一人に『ありがとう』といっていたから時間がかかったんだ」と言っていたと聞きました。
もしかしたら、それは本当だったかもしれないと、昨日、みなさんからいただいたメッセージにお返事しながら、思いました(笑)。
一人一人のお顔を想い、感謝の気持ちを込めてお返事を書きました。本当にうれしかった。こんなに大勢の方におめでとうと言ってもらえる幸せ。

「幸せを感じるって、幸せじゃないことがあるから。
そして幸せじゃないことを感じられることは幸せ。
それはすなわち幸せを知っているということだから。」

昔、友達が言っていた言葉。
確かにそう。
いろんなことがいままであったから、だから幸せを幸せと感じられるのですね。

58年生きてきて、今、思うのは、人は経験を通して成長していくのだなぁということ。あたりまえのことなんだけど、イヤなこと辛いこともぜーんぶ経験として蓄積され、それが必ずプラスに転じる。
記憶が想い出に変わるとき、記憶の中身が変わり、想い出の中で、「いい想い出」「普通の想い出」「悪い想い出」の割り合いが、6:3:1になる、と聞いたことがあるから、嫌な思い出、辛い思いでは時間がたつと浄化されてしまうのかもしれないけど。

私の父の座右の銘は「忍耐と努力」
私は小さい時からこの言葉を聞かされすぎて、「忍耐と努力」が逆に大嫌いになってしまい(笑)、とにかく楽して生きられればと思って今まで生きてきたようにも思いますが、思い返してみると、「イヤだけど我慢してやってきたこと」とか「つらかったけど、がんばってやったこと」そして、これは「忍耐と努力」ではないけど、「心がつぶれるほど悲しくつらいこと」を経験したことが、今の私を作っているような気がします。

未だに「忍耐と努力」は苦手ですが、どんなことも受け入れて経験を重ねていくことが、より多くの「幸せ」を感じられることになるんじゃないかなと、改めてこの歳になって思います。

来年の誕生日にはどんなことを思うのか、ちょっと今から楽しみですが、これから一年間の経験でより幸せを感じる力ができるといいなと思います。だからといってつらい経験はあまりしたくないけどね(笑)

とにもかくにも、幸せな誕生日をくださったみなさんに感謝、感謝。
今日から気持ちもあらたに、がんばります。
座右の銘を「忍耐と努力」にするにはまだまだ未熟な私ですが(笑)、「一日一生」と思って、毎日ベスト目指して58才も過ごしたいと思います。

58才の決意表明でした(笑)



(2016.02)