ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

桜とカーニバル

桜が少しずつ花びらを落とすのと同時に、今度は周りの木々が芽吹き始め、緑が鮮やかになってきました。
生命のエネルギーを感じる季節・・・

こうして何年も何百年も、もしかしたら何千年も、同じように芽吹き、花が咲き、花が終わり、葉も落ち・・・そしてまた春になったら芽吹き、花が咲き・・・・ということを繰り返してきたんだなぁ・・・
私よりもっともっといろんなことを見てきた木々もあるんだなぁと思ったら、なんかすごいなぁと。

日本人にとって桜はとっても大事な花。
「お花見」は「お正月」や「クリスマス」と同じくらいの大イベントなのではないかと思います。

日本以外の国で、この「桜」に匹敵する花はあるのだろうか、と思いをめぐらしたとき、もしかしたら、「桜」ではないけど、日本人にとっての「お花見」に匹敵するものが、ブラジル人にとっての「カーニバル」なのではないかと・・・。

あの有名な”A felicidade”という曲の中に、カーニバルと幸せを重ねあわせて、「悲しみには終わりがない。幸せには終わりが来るのに。幸せは風が運んでいく羽根のよう。とても軽く飛ぶけれど、その命は短い。幸せは心を狂わすもの。そしてとても壊れやすいもの。そんな幸せを私は大切にしたい」とViniciusは言ってるけど、日本人にとっての桜への想いと似ているような気がします。

どこの国でも「儚い」ものは「美しく」だからこそ人を惹きつけるものなのでしょうね・・・・

咲く前は、今か、今かと待ち焦がれられて、咲いたら、みんながこぞってお花見をし、散れば散ったで、美しいと言われ・・・
今度生まれ変わったら、そういう女に私はなりたい(笑)

でも、その「終わりが来る幸せ」も、一度は終わってもまた次の年にはやってくるわけで(笑)。
ひとときの幸せのために一年を待つ。
一年まったら必ず幸せが来る。

桜は意外と芯の強い女性なのかもしれません。
「儚い」けど「芯が強い」
ああ、やっぱり私は桜のようなオンナになりたい(笑)

はらはらと散る、桜の花びらを見ながら、とりとめもないことを考えている春の午後・・・・
そろそろ妄想から覚めて、今日のライブの準備をしなきゃね!





(2015.04)