ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

コラム

私の中のボサノバ

ボサノバシンガー 田坂香良子 -KAYOKO TASAKA-

街を歩いていて、ふと聞こえた音楽が「あれ?これはブラジル?」と感じるとき、大抵ポルトガル語がその後から聞こえてきます。
フロリダのプールサイドで水着と歩き方だけをみて「あ、この人ブラジル人?」と思うと、ポルトガル語をしゃべってる・・・っていうのと同じくらいの確率で。
なんだかよくわからないたとえですが、たぶん、その確率は80%くらい。

音楽にも歩き方にも、ブラジル特有のあのグルーヴを感じるのです。私の師匠バスコが、「ブラジル人はシンコペーションで歩く」ってよく言うけど、ホントにそう・・・。

私は、ボサノバを歌いはじめた頃、
「お酒があって、おいしいお料理があって、そしてそこに聞こえてくるのがボサノバだったらとっても気持ちいいだろうな。私はそういう歌を歌いたい!」
と思っていました。
その気持ちは今でもかわらないんだけど、でも、最近ちょっと、ボサノバ=BGMではないような気がしてきたのです。
かといって、ある種のジャズのように、真剣な面持ちで音を聴いてもらうライブ。というのではなく、ボサノバのライブは、お酒などをのみながら、その場に居合わすみんなが”同じ舞台”で楽しむものなんじゃないかなと。
演奏者とお客様という関係ではなく、聴いてもらうっていうより、一緒に感じるっていうか・・・・。

だから、私がブラジルにいる間にいつの間にか身につけた、あの、「グルーヴを察知する力」を、歌うことを通して周りの人達に伝えて、私の中のボサノバを一緒に感じてもらえるようなライブができればいいなと思うのです。

そう。その昔、ボサノバができたころ、ナラレオンのお家にみんなが集まってお酒をのみながら、ギター片手に音楽を楽しんだように・・・。